イラクサという山菜
先日「イラクサ」という山菜をいただいたの。
調べてみたら、イラクサって、西洋ではネトルというハーブのことらしいのね。
正確には、全く同じ植物ではないみたいだけど。
日本のイラクサの学名はUrtica thunbergiana
ヨーロッパのネトルはセイヨウイラクサと言って、学名はUrtica dioica
どっちもUrtica属だから、まあ大体同じと思っていいのかな。
イラクサは本州・四国・九州に分布する多年草という記述があり、北海道にはエゾイラクサ Urtica platyphyllaが自生していて、アイヌの人たちは食用にしたり、繊維を利用したりしていたという記述も見たので、もらったのはエゾイラクサの方かもしれないわね。どちらにしてもそう変わりはなさそうだけど。
「イラクサ 山菜」で調べたら、東北ではアイコと呼ばれる山菜が親しまれているという情報がたくさん出てきたけど、アイコはミヤマイラクサ Laportea macrostachyaという植物で、Laportea属(ムカゴイラクサ属)。同じイラクサ科だけど、属が違うから、こちらはだいぶ違う植物みたい。
イラクサと名の付く植物はみんな、触ると痛い棘があるので採取するときはゴム手袋が必須なんですって。単に物理的に挿さって痛いだけじゃなく、棘に含まれるギ酸とかヒスタミンとかが皮膚に注入されて、猛烈に痛くなって腫れるらしいわ。
いただいたイラクサはゆでてあったので、棘は大丈夫だったけどね。ゆでるか乾燥させるかすれば、棘も刺激物質も簡単になくなるみたい。
イラクサは別名「蕁麻」とも言って、蕁麻疹はもともとイラクサによって引き起こされる皮膚炎のことを言ったらしいわ。
そんなに採るときに注意が必要な危険な植物なのに、それでも食用にされてきたのは、きっと単にお腹がすいていたとか、美味しいからだけじゃなくて、きっと素晴らしい健康効果があるからに違いないわ。
実際ヨーロッパでネトルは、ビタミン、ミネラルが豊富で様々な薬用効果があるハーブとして重宝されてきたんですって。乾燥させてお茶にするだけでなく、葉っぱを茹でてスープにしたり、キッシュの具にしたりと、普通に食べられてきたみたいよ。
この情報に出会って、ワタクシの中のヨーロッパ魂が反応してしまったのよ!
ワタクシ、今回は日本人として生まれてきてしまったけれど、未だに日本に今一つ馴染めていなくてね。
山菜の調理法と言えば、日本では天ぷら、おひたし、胡麻和え、酢味噌和え、マヨネーズ和えくらいでしょう。まあ、それはそれで、もちろん美味しくて素晴らしい食文化だとは思うのよ。
でもね、ポタージュとかオムレツとかキッシュって聞くとね、心の奥にある鐘がビンビン打ち鳴らされる気がするのよ。これは前世の記憶としか考えられないわ。
というわけで、さっそくポタージュスープにしてみたわよ。
玉ねぎとジャガイモとイラクサをホットクックに入れて、調理メニューからポタージュスープを選んで加熱。
かき混ぜ棒がグルグル回って、玉ねぎとジャガイモは崩してくれたけど、イラクサはさすがに繊維があるから無理ね。このままだとあんまり滑らかなスープにはなりそうにないので、ここはスティックミキサーの出番。
滑らかなペーストになったわ。
牛乳を入れて、蓋をして最後の加熱。
きれいな緑色のスープのできあがり!
イラクサのお味はというと、あんまり主張のない味なのよね。だから逆に言えば、何に入れても合わないってことはないと思うわ。
でも全く味がしないわけではなく、よく気を付けて味わうと、うまみのようなものがある感じ。
イラクサをジャムにするという情報も見かけて、「ええ~?葉っぱをジャムにするの??」と半信半疑ながらも、好奇心が抑えられずにやってみたわ。
ゆでてあるイラクサ50gを刻んで、砂糖25g、レモン汁10gを入れて煮詰めてみたところ。
食べてみた感想はと言うと・・・
これはいわゆる日本でいうところの佃煮ね!
考えてみれば佃煮も砂糖がたくさん入るじゃない。醤油がない国では、醤油の代わりにレモン汁なのね。そういうことね。
ほとんどレモンと砂糖の味だから普通に美味しいのだけど、葉っぱをかみしめることでそこはかとない滋味が感じられる。
ヨーグルトに入れて食べるとすごく美味しいことに気づいてしまったわ。
これは絶対に健康にいいはず!
イラクサいいね!って言ってたら、今度は生のイラクサもたくさんもらってしまったので、乾燥させてお茶にしてみることに。
乾燥する前の生葉でもお茶にしてみたけれど、これがまた、すごく飲みやすくて美味しい!
イラクサってあんまり味がないと思ったけど、うま味成分はゆで汁の方に出てしまうのね。これはゆでて葉っぱだけ食べるのはもったいないかも。
イラクサちゃん、あなたって素晴らしい植物ね!
採ってきてくれた人と地球とイラクサちゃんにありがとう!