シャクという山菜
シャクという山菜をごぞんじかしら?
ウドやタラの芽やワラビのように有名でないためか、あまり採る人がいないらしいけれど、これもまた調べてみたら、イラクサ同様、西洋で使われるハーブと同属植物だったのよ。
日本に生えているシャクの学名は Anthriscus sylvestrisということなんだけど、西洋ハーブとして有名なチャービル(セルフィーユ)の学名がAnthriscus cerefolium、つまり同じAnthriscus属(シャク属)なのね。
自称前世がヨーロッパ人のワタクシとしては、シャクって言われるよりも、チャービルとかセルフィーユとか聞くと、がぜん興味が湧いてきてしまうのよね。
Wikipediaによれば、チャービルは英語名、セルフィーユはフランス語名で、フレンチパセリとも呼ばれ、フランス料理に良く使われるということなんだけど、乾燥させると香りが弱くなってしまうから、生で使うのが推奨とのこと。
医薬品として、「伝統的には様々な医薬用途に用いられてきた。妊娠した女性はチャービルを滲出した風呂に入り、チャービルのローションは石鹸として用いられ、また血液浄化剤としても用いられた。消化促進や血圧低下にも効果があると言われ、酢に浸出したものはしゃっくりの治療にも使われた」なんて記述も。
お風呂や石鹸かぁ、外用にしても良さそうね。化粧水とか作ってみようかしら。
去年、たくさんのシャクをいただいたので、さっとゆでて冷凍して保存しておいたのだけど、これを流水で解凍してマヨネーズとポン酢で和えるととても美味しいのよ。パスタなんかに入れてもきっといいわね。西洋で使われているハーブと同じ種類ということが分かれば、オムレツとかスープとか、西洋料理もこれからいろいろと試してみたいところね。
というわけで、シャクの保存法としては、ゆでて冷凍するのが間違いないことは分かっているのだけど、冷凍庫の容量にも限りがあるから、乾燥保存もできたらといいなあと思って、今年またいただいたシャクで、少しだけ実験してみたわ。
ちょっと鮮度が落ちてしまっているのだけど、この2束を使って、1束はそのまま、もう1束はさっとゆでてから干してみることに。
そしたらね、ビックリしたのだけど、乾燥するまでの速度が、圧倒的にゆでてから干した方が早かったのよ。ゆでた方は次の日にはもうパリパリになっていたけれど、生のまま干したのは、数日たってもしんなりしたまま。ゆでると細胞が壊れるから、中の水分が速やかに蒸発するのね。
これは干してから5日後。左がそのまま干したもの、右がゆでてから干したもの。
ゆでてから干したものの方が緑色が濃いわよね。ゆでることによって、酵素を失活させてしまった方が、成分が保たれるのかもしれないわ。ゆでることによってお湯に流出してしまうものもあるでしょうから、栄養的にどちらがいいかは分からないけれど。
そのまま干した方は、5日経っても、完全にパリパリにはなっていなくてしんなりしおれた感じ。
口に入れて噛んで確かめてみると、ゆでて干した方はほとんど味も香りもなく。
でもそのまま干した方は、完全に乾ききっていないせいか、いくらか香りは残っている感じがしたわ。乾燥すると香りは弱くなるとWikipediaに書かれていたけど、特に太い茎は、まだかなり水分が残っているからか、しっかり香りが残っていて、味も凝縮されて、甘みがあって美味しい。何かに使えそうな感じ。
でも完全に乾いているわけじゃないから、このまま袋に入れて保存するとなると、かびちゃったりしないかしらね。かと言ってもっとパリパリになるまで乾かせば、香りも飛んじゃいそうだし。難しいところね。
乾燥したものを、水に漬けて戻してみたわ。左右が逆になってしまっているのだけど、今度は左がゆでてから干したもの、右がそのまま干したものよ。
ゆでてから干した方はすぐに水を吸って戻ったのに対し、そのまま干した方は水をはじいてしまって、戻すのに3~4時間かかったわ。
ゆでてから干した方の緑色の回復具合にビックリ!
味や栄養面ではいまいちかもしれないけど、少なくとも見た目的にはフレッシュな緑色で使えそう。
何か月か経っても色が残るかどうかは、試していないから分からないけどね。
もう1つ思いついた保存方法として、ドイツのザワークラウトのように、塩を入れて瓶詰にして発酵させる方法も試してみたわ。
これは先日仕込んだばかりだから、後日いい結果が出たら、またこちらで報告するわね。上手くいってくれたら、うれしいんだけど。
地球の豊かな恵みをどうやって保存して美味しくいただくか、いろいろやってみること自体がとっても楽しいものね。
今日は愛用のマシンの出る幕はなかったけど、地味な手作業をするのも、たまには悪くないわ。